コッペパン・シンドローム

相変わらず浮世とリズムがズレています。程よいズレはグルーヴですがこれは…。

【新】さらば、愛と青春のコッペパン・シンドローム【終】

今までここに記した「コッペパン・シンドローム罹患者のカルテ」について、

私はそれをそっと心のなかにしまい込んで、誰にも見えないようにした。

同じくコッペパン・シンドロームを患う人たち、

あるいはこの病の研究者の間で、カルテは貴重な資料だったかもしれない。

だからこそ、私はそれを独り占めすることにした。

さらば、愛と青春のコッペパン・シンドローム

(カルテはここで終わっている。)

 

とまあ、冗談はこれくらいにして。つまりは今までの記事をすべて非公開にした。

僕の人生は16小節とまではいかないが、24小節くらいまで来ていた。区切り時。

大きく分けて2つの理由があって、そういう決定をするに至る。

 

ひとつ。学生から社会人になったという区切り。

今春、同世代の大卒諸君より1年遅れで社会人になったはいいが、

5月いっぱいぐらいは在宅での勤務だった。お金を頂いて家で勉強している状態。

僕は社会人とも学生ともとれぬ、アンバランスな境界の上に立っていた。

なんなら今もまだ向こう岸で、髪の長い僕が手を振っているのが見える。

そういう状態をまずいとは思っているので、どこかに線を引きたかった。

 

ふたつ。休学→復学→就職活動→真のモラトリアム→就職と、

「カルテ」を書いている間だけでも人生は矢継ぎ早に展開していった。

大海原に思いを馳せ糸を垂らすときもあれば、

終わった恋について(そもそもそれが恋だったのかも疑いつつ)

考えながら小さな池の畔に設えられたベンチで悶々とすることもあった。

これはコッペパン・シンドロームの症状のひとつだと思うが、

視座がまったく安定せず、僕は自分の心の連続性について疑問を感じることが多い。

もちろん、人生がひとつのレコードに記録されているのは確かなのだが、

ソングライターが何人もいて、1曲1曲がかなり短い。

また作曲者が交代するのを感じたので、ここで一区切り。というわけだ。

 

ところで、熱心なコッペパン・シンドローマー(読者の意)の皆さんは

もうチェックされたことだろうが、僕は新曲を発表した。

 

 

 
代表的なメディアのリンクを貼ったので、まだの人はぜひチェックしてほしい。
以下は、この曲の歌詞である。皆さんはこれをご覧になってどう感じるだろうか。
 
曲名:Lemon
作詞作曲:Akitoshi ITO
 

檸檬をひとつ僕にもください
神様ひとつ預けてください ねえ

寝たい 寝たいのに眠れない内気な眼差し
得体 得体の知れない不吉な塊
失う超感覚 消える高音域 不感症のオタク
貪る抗不安薬 褪せる極彩色 無伴奏のトラック
朝目覚め 冷めかけカフェラテ 味しない
さめざめ泣き顔 涙はまだ出ない
救いを 救いを求める僕らに冷たい果実を

檸檬をひとつ僕にもください
神様ひとつ預けてください ねえ

俺にも聞こえてくる潮騒
それ絵にも描けないような色彩
目から流れ込む旋律
手から離れゆく現実
散弾銃 炭酸の弾丸を込めてぶっ放す
暗澹たる緩慢な毎晩に別れ言い渡す
全能感 面倒な問答を何遍も繰り返す
四六時中もリチウムきいてる白昼夢
商業ビル飛び降りる 想像に難くないね

So Good? So Good? So Good? So Good?
So Good? So Good? So Good?

救いを 救いを求める俺らに冷たい果実を

檸檬をひとつ僕にもください
神様ひとつ預けてください ねえ
檸檬をひとつ僕にもください
神様ひとつ預けてください ねえ

 

これは、主に歌詞の意味に気づいてしまった一部の人々からすこぶる評判が良い。

反対に、曲展開が一部プログレッシブなこともあり、歌詞と相まって、

狙い通りとはいえ、支離滅裂さに聞き疲れした人もいることだろう。

先程の話と少し関わってくるが、いわゆる「1番」と「2番」で

(僕はラッパーを自称しているので「ヴァース1」「ヴァース2」と呼ぶが)

「視座」が違っているのはわかっていただけるだろうか。

 

あまり解説すると野暮なうえに、いろいろと不都合がある。

ゆえにほどほどにするが、曲調こそ大きく異なってるものの、

実は前作「Waves」と同じようなことを言っているのだ。Wavesの歌詞はこうだった。

(あまり貼ると重くなるのでSoundCloudのみ掲載するが、あらゆるメディアで聴ける)

 

曲名:Waves

作詞作曲:Akitoshi ITO

 

母性を薄めたような味の
無粋な欠片飲んで
個性があるとか忘れそうで
無性に声が震え
しみたれ言葉がぽつり
ただ
自信が欲しいとこぼすのです

母性を薄めたような味の
無粋な欠片飲んで
個性があるとか忘れそうで
無性に声が震え
絶え絶え心が喘ぎ
まだ
自分の声すら覆うけど

波がきて
涙枯
たそがれ時間は終わり

たたんで朝日を浴びる

朝焼け小焼けで
新たな話はじまり
また
新たな私始まるのです

波がきて
凪がきて
満ち欠け満ち引き絶えず
ただ
月明かりのもと生きるのです

 

なんとなくわかっていただけただろうか。

どんな手段でも、どんなに短くても良いので、感想があればいつでも教えて下さい。

こんな早朝に文章を書いているものの、その実いつも眠れず起きているだけなので。

打たれ弱い(ことのほうが多い)ので、あまり辛辣なことを言われると悲しいが…。

 

さて、僕はLemonを作っている間に就職を迎えて、

かえって音楽で成功したい欲がふつふつと高まっている。「バズ」はないものの、

この曲の滑り出しはなかなか悪くない数字が出ている。今後に期待してください。

 

そうこう言っている間にまた「視座」が変わるだろうが、そういうものなのだ。

 

今日はLemonの参考音源集を貼っつけて終わりにします。

さらば、愛と青春のコッペパン・シンドローム